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対象を持つということ

……です。

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対象と自己

 本当に本当の自分らしい?

 「それにしても、自分らしい対象が何なのか、わからないのです」という人も、とても多いのです。

 さて、ここに「本当に自分にぴったりくる本がどれかわからないので、私は本を読まないんです」という人がいるとします。なんとアドバイスしてあげますか。

 そう。
 いろんな本に触れてみれば、おもしろいとか、おもしろくないとか、いろいろな感触があるでしょう。その経験の積み重ね以外に、「好きな本」なんか、ありませんね。
 一冊の本も読んだことのない純粋無垢な本当の私が心の底から本当に好きな本があるかもしれない、と想定するのは、写真というものを見たこともなく写真機を手にすることもしないで畢生の大作写真を構想するのと同じくらい、おかしな思い込みです。

 関係としての私

 「本当の自分さがし」は時間の無駄。
 そんな時間があるのなら、本屋さんへ出かけましょう。
 映画の一本も見ましょう。
 音楽を聴いてみましょう。
 町の様子を観察してみましょう。
 何か書いてみましょう。
 誰かと話してみましょう。
 動いてみましょう。

 そういう経験のつみかさねの中から、こういう映画が好きな私、こういう考えの人と意気投合する私……というふうに、「自分」が現れてくるのです。「私」とは、常に、対象や他者との関係性のなかにしか、ないのです。

 得意技をのばしましょう

 あ、なんでもやってみよう、というわけじゃありませんので、これもまたご注意を。

 人によって、一人で作業するのはいいけど他の人と話すのは苦手、とか、論説文は読めるけれど小説はどうも、などなどのように、得手・不得手、好き・嫌いはあるでしょう。
 --それそれ、それがもう、「あなた」の「自分」ですよ。

 その「私」(自己)の得意なことを伸ばしてあげましょう。

 真面目な人ほど、「できることを伸ばそう」というよりも「できないことを克服しよう」と考えがちになってしまうもの。いやそれで充実感を得ているのならいいのですが、かえって自己否定感ばかり募らせるよりは、「これならできるぞ」をさがしたほうがいいんじゃないかと思うのですね。

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