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レポートの構成

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項目内目次 タイトル 三部構成 序論 本論 結論

重点

主題と副題をわける

三部構成にする

 すばらしい演技や景色を前にさえすれば、あとはなんとなくカメラをまわしておくだけで名作映画ができあがる、というわけにはゆきません。 これと同様に、せっかく一所懸命に調べてメモをとっても、いきなり真っ白の原稿用紙(パソコン画面)に向かってなんとなく書き始めるのでは、なかなか良い作品はできないのです。

パソコンに向かって腕組みするな。

 以下は学術レポートのみならず、およそ報告というものについて一般的に応用できるものではないかと思います。

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タイトルの付け方

 主題副題に分けます。そして

  • 主題で「テーマ」を、副題で「着眼点」や「方法」などを示す
  • 主題で「大問題」を示して副題で「小問題」に絞る

などのようにすると、レポートの性格と課題がよく表現されます。例えば、

  • 「農業機械化の歴史 : 秋田県の場合」
  • 「朝市にみる食と農の再結合: 仙台野菜カフェを事例に」
  • 「不登校現象の社会学 : ラベリング論による分析に着目して」
  • 「労働世界の変容 : 自由時間に関する意識と行動の調査データから」

 課題レポートでは「主題」が与えられていることもあります。そのような場合には、副題で「観点を示す」か「問題をしぼる」ようにすればやりやすいでしょう。

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三部構成

 学術レポートの基本は三部構成。おおまかには次のようになります。

  • 序論
  • 本論
  • 結論

 以下、順に概略を見ておきましょう。

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 序論

 序論に書き込むのは次のようなもの。

  • テーマ・主題
  • 問題意識
  • 背景
  • 対象
  • 方法・構成

テーマや主題

 冒頭に、この文章が何を論じたものであるかを宣言します。例えば、

 「このレポートでは○○について調べた結果を報告したい」。

問題意識

 次に、どうしてその問題なり課題をとりあげるに至ったのか、自分の問題意識を書きます。

「というのも、このテーマは、××という問題に関連していると思われたからである」。

「一般には△△と言われているが、それには疑問を感じていたからである」。

「□□という議論はもっと深めてみるべきだと感じたからである」。

背景

 問題意識と順番は逆でもかまいません。世間一般とか学会などで、どんな議論があるのか、何が課題となってきたのか、それが本報告とどのように関連するのかを書きます。

今日、○○が私たちの社会にとって枢要な課題として議論されている。

▽▽学の文脈では、□□という論題が、この背景にある。

対象

 具体的に本文でとりあげる資料やデータや議論はどんなものであるのかをざっと紹介しておきます。

「そこで、△△問題について資料を収集してみた」。

「美土路(2003)をとりあげ、その所説を検討してみたい」。

方法・構成

 どんな手順で論を進めるのかを前もって示しておきます。

「天馬による資料A(天馬 2002)から関連するデータをピックアップしてみよう」。

「以下ではまず第2節で『学歴社会の神話』 (美土路 2003)から、その第三章を要約しておこう。続く第3節では、 『学歴社会日本の構造』(御茶ノ水 2005)をとりあげ、美土路との相違点をさぐりたい」。

 以下、「先行研究のリビュー」とか「方法についての注記」とか「対象の概況」とか、いろいろあるのですが、入門期なら免除されてもよいでしょう。

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本論

 検討しようとする理論・概念・事実・データなどについての紹介や解釈や分析。これについては項をあらためて。

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結論

 結論には次のものを書きます。

  • まとめ
  • 結論
  • 評価
  • 残された課題

まとめ

 本論部分で述べたことをおさらいし、簡単にまとめます。

 「以上、××について見てきた。まとめてみれば (結局のところは)(要するに)(端的に表現しなおせば)、○○ということであろう」。

 結論

 最終的に論証なり証明できたこと、考えられること。序論で出した問いに対する答えでもあるべき。

「 総じて見れば(全体として)(総合してみると)○○という事実が確認できたと思う」。

「結論として、ここではA説の観点から見た場合の現実に、とくに注意すべきことになると思う」。

 評価

 得られた結論がどんな価値を持っているか、それによって何が変わるのか。

 「一般的想定とは異なり、やはり大きな問題をはらんでいると言える」。

 「私じしん、□□と考えてきたが、○○の視点が重要だと認識させられた」。

 「この点から見ると、□□という解決策が支持されることになろう」。

残された課題

 とりくみ残したこと。これからさらに追求したいこと。

「しかし、本レポートでは、XYについて考慮に入れることが不足していた。これについては今後を期したい」。

「さらに○○を検討すべきであろう。しかしそれはまた別の論題であろう」。

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